vol.7
2024年4月15日発行
①面接試験とは
●面接試験の目的
企業は、意欲、学力、人間性など質的バランスのとれた人材を求めていますが、学力以外の面を探る方法として有効な手段が面接試験です。総合的な評価材料が得られるため、ほとんどの企業で実施されています。面接試験では、物の見方・考え方や人柄のほか、仕事に対する意欲やコミュニケーション能力・協調性・責任感といった社会人に必要な力が身についているかを確認します。
●面接試験の種類
《個人面接》
受験生1名に対し、面接官が1名の場合と複数の場合があります。高校生の採用試験では、面接時間は10~20分程度が多いです。
《集団面接》
複数の受験生に対して、面接官3~5人で行われます。試験時間は受験生の人数によって異なりますが、30~40分程度が多いです。
評価は他の受験生との比較の中で行われます。同じような質問に順番に答えるケースが多いですが、他の受験生の答えに対して意見を求められたり、それぞれ別の質問をされたりする場合もあります。
《グループディスカッション》
複数の受験生を1グループとし、テーマを与えて自由に討論させます。
受験生の態度や発言の内容から、知識面だけでなく、集団の中でのコミュニケーション能力や協調性、社会性などを評価します。高校生の採用試験ではあまり行われていません。
〇面接試験での座り方の例
▼個人面接(面接官1名の場合) | ▼集団面接 | ▼グループディスカッション |
②面接試験の概要
●面接試験の流れとポイント
1、受付でのあいさつ・試験会場への移動
受付の担当者に学校名と氏名をはっきりと名乗り、面接に来たことを伝えます。
ポイント
・試験会場には時間に余裕をもって到着する。
・コートや手袋は会場の外で脱ぐ。
・エレベーターや会場付近ですれ違う人にも軽く会釈をする。
2、控室で待機
指定された席に座り、指示があるまで静かに待ちます。控室での態度もチェック対象です。
ポイント
・周囲の受験生とおしゃべりしない。
・携帯をいじったり、音楽を聴いたりしない。
3、入室
名前を呼ばれたら、返事をして立ち上がり、面接室のドアを2~3回ノックします。「どうぞ」と返事があったら、「失礼いたします」とあいさつし、静かにドアを開けて入室します。
ポイント
・ドアを閉めるとき、後ろ手で閉めない。
4、着席
部屋の入口で「よろしくお願いいたします」とお辞儀をして進み、いすの横に立って再度「○○高校の△△です。よろしくお願いいたします」とお辞儀をします。着席を促されてから席に着きます。
ポイント
・あいさつは面接官を見て行う。
・いすの背もたれに寄りかからず、背筋を伸ばして座る。
5、面接中
面接官の目を見て、はきはきと応答します。
ポイント
・話すときは、「はい」と言ってから話す。聞きとりやすい適度な大きさで、語尾があいまいにならないよう、最後まではっきり話す。
・思いがけない質問の場合は、少し時間をもらって考えを整理してから話す。
※集団面接の場合
・他の受験生の話をきちんと聞き、その間も顔と目線は面接官に向けて、正しい姿勢を保つ。
・前に発言した受験生と内容が重なってしまっても、慌てず自分の言葉で話すように心掛ける。
※グループディスカッションの場合
・他の受験生が発言しているときは、発言者のほうを見て聞く。
6、面接終了~退室
面接官から「終了です」と言われたら、立ち上がって「ありがとうございました」とお辞儀をします。部屋の入口まで戻り、もう一度面接官に向き直って「失礼いたします」と一礼し、ドアを開けて退室すします。
ポイント
・退室してすぐに携帯電話で連絡したり、他の受験生と感想を述べあったりしない。
・コートは会場の外で着る。
会社に着いたときから、終了後会社を出るまでが面接試験です。出会う社員すべてが試験官であると心得て、気を抜かないようにします。
●よく聞かれる質問
1、導入のための質問
受験生の緊張をほぐすために聞きます。
「昨夜はよく眠れましたか」
「面接会場まではどのように来ましたか」
2、志望理由
必ず聞かれる質問で、重要度は高いです。
「なぜ当社を希望したのですか」
3、学校生活
学校生活の中でどのように頑張ってきたのかを見ます。志望理由に次いで重要度が高い質問です。
「高校生活で一番頑張ったことは何ですか」
「好きな科目とその理由を話してください」
4、性格、長所・短所
自分をどの程度客観的に把握しているか、長所を伸ばし、短所を克服する努力をしているかを見ます。
「あなたの長所と短所を話してください」
「自己PRをしてください」
5、趣味・特技・資格
特技・資格については、採用後の業務に関連する場合もあります。
「あなたの趣味・特技は何ですか」
「どんな資格を持っていますか」
6、時事的な事柄
学校の勉強だけでなく、社会の動きにも関心を寄せているか、ものの見方・考え方を見ます。
「最近ニュースで関心を持ったことは何ですか」
7、入社後の希望
志望理由と関連して、志望の確かさや意欲を見ると同時に、入社後の希望部署を把握しておきたいという意図もあります。
「入社後は何をしたいですか」
③面接試験対策
●事前指導
質問に対しては、自分の言葉で素直に話すことが大切です。就職のマニュアル本の丸暗記や先輩からの受け売りではなく、ありのままの自分を伝えられるよう指導します。
〇志望理由
「この会社で働きたい」という熱意が届くよう、以下の観点でできるだけ具体的にまとめさせます。
・この業種・職種に興味がある理由
・なぜこの会社を選んだのか、この会社に興味を持ったきっかけ
・入社したら何をやりたいのか、どのような社会人になりたいのか
求人票・会社案内・会社のホームページなどから受験企業の情報を集めさせると、企業のどの部分に魅力を感じ、入社したらどのような仕事をやってみたいのかがまとめやすくなります。
〇自己PR
客観的に自分を見つめるため、家族や友人、先輩・後輩、先生など身近な人からの意見も参考に、長所と短所の両視点でまとめさせるとよいです。
「長所が見つからない」という生徒には、「臆病」→「慎重」、「頑固」→「意志が強い」、「騒がしい」→「活発」などのように、短所は長所の裏返しであると指導します。また、短所について聞かれた場合は、それを改善するために努力していることを付け加えるよう、アドバイスします。
〇高校生活
部活動、生徒会活動、行事への参加、学業等、一番頑張ったことについて、その様子を具体的に話せるようにします。
特に目立った経験である必要はなく、小さなことでもよいので、その経験を通じて何を学んだか、今後にどのように生かしていきたいかまで掘り下げておきたいです。面接官は、受験生の前向きな姿勢を見ようとしています。
〇時事常識
日頃からニュースをチェックするように心掛け、広く社会の出来事に関心を持つ習慣をつけさせます。
●正しい言葉遣い
仕事をしていく上で必須のスキルであり、面接試験での重要なチェックポイントです。適切な表現・言葉遣い(敬語)ができるように指導します。
言葉遣いは一朝一夕では身に付かないため、普段の生活の中で常に意識させておきたいです。
①丁寧語
相手に対し敬意を表して、丁寧にいう言い方(「~です」「~ます」)。
②尊敬語
直接相手に対して尊敬の気持ちを表す言い方(「おっしゃる」「くださる」「いらっしゃる」など)。
③謙譲語
自分の動作をへりくだって表現することにより、他人に対する尊敬の気持ちを表す言い方(「申し上げる」「差し上げる」「伺う」など)。
※人の呼び方と敬称
・自分を指す言葉→ わたし、わたくし
・身内の者を指す言葉→ 父、母、祖父、祖母、兄、姉など
・面接する会社を指す言葉→ 御社、貴社
●身だしなみ・態度
下図のような、面接試験にふさわしく、高校生らしいさわやかな印象を与える服装を心掛けます。身だしなみはその人の第一印象を決め、評価に大きな影響を与えますので、十分に注意させたいです。
面接官は身だしなみや応答の内容だけでなく、表情や話し方、態度にも目を光らせています。伏し目がちだったり、きょろきょろしていたりしては、評価はマイナスになります。また、受け答えをする際、面接官が何度も聞き返さなければならないほどの小さな声や、逆に部屋中に響き渡るような大声も良くありません。そのほか、髪を頻繁に触る、唇をかむ、貧乏ゆすりなど、無意識でしている何気ないくせにも気をつけなければなりません。これらは良い印象は与えないので、できるだけ早く直させるようにします。面接中の態度として、正しい姿勢、明るく落ち着いた表情や話し方を心掛けるように指導したいです。