vol.4
2024年2月1日発行
①採用試験の概要について
●筆記試験
民間企業の採用筆記試験(学科試験)は、高校生としての知識・教養や基本的な常識が身についているかを判定しようとするものなので、問題のレベルはそれ程高くはありません。中学を中心に、小学校高学年から高1までの基礎レベルがほとんどで、出題内容は、国語、英語、数学、社会などの基礎的学力を見るものが中心です。職種によっては、理科や商業、工業系などの専門的な知識も試されます。
どのような職種に就くにしても国語的素養は必要であるため、筆記試験において最も多く出題されているのは「国語」問題です。英語も経済のグローバル化に対応して、採用試験での出題が増えています。
そのほか、教科常識以外の一般常識として、時事的な事柄や生活・文化に関する問題を出題して、社会への関心度や時代感覚を試すものもあります。細かい専門的なレベルまでは問われませんが、自分を取り巻く世界で主にどのようなことが話題になっているのかは日頃からチェックさせておきたいです。
●適性検査
適性検査は、受検者の適性や能力、性格的な特性を調べ、企業の業務に適した人材を採用するため、そしてその後の適切な人材配置、活用に役立てるために実施される場合があります。
適性検査にはさまざまな種類があり、高卒就職者の採用試験では、クレペリン検査(精神作業検査)、一般職業適性検査、SPI(エスピーアイ)、SCOA(スコア)、CUBIC(キュービック)などが実施されています。
なかでも、SPI を実施する企業の割合が多いです。SPI は「能力検査」と「性格検査」で構成されています。「能力検査」(言語分野と非言語分野に分かれている)は企業の業務で必要となるスキルの基礎となる能力を、「性格検査」は受検者の考え方や行動パターンを測定します。
②教科別の出題傾向と対策
各教科のよく出る分野と対策について下の表にまとめました。
●出題傾向と対策
教科 | よく出る分野 | 備考・対策 |
国語 |
①漢字力 ‒ 漢字の読み書き ②語い力 ‒ 類義語、対義語、故事成語・ことわざ、慣用句など ③文章読解力 ④文学常識 |
●漢字の読み書きがもっとも多く、読みは特別な読み方(土産など)も出題される。 ●故事成語・ことわざ、熟語などは、穴埋め形式あるいは意味を問う出題形式が多い。一般的に知られているものが多いため、問題集の活用が効果的である。 ●敬語の使い方を問う問題も出題されるため、日常生活を通じて学ぶようにしたい。 |
英語 |
①語い力 ‒ 単語の意味、スペリング、同意語、反意語など ②文法の知識 ‒ 前置詞、接続詞、比較級、関係代名詞など ③表現力 ‒ 簡単な和訳・英訳、イディオム、日常会話の表現など |
●単語、文法・英作文とも高校1年程度までの基礎的な英語力が試されるため、中学校段階にさかのぼって復習しておきたい。 ●前置詞や接続詞・関係代名詞などを問うものが多い。文法の知識を問う問題の大部分は、文の中の空所を埋める形式である。 ●長文を読んで答える総合問題形式と、1問1答式のスタイルがある。 |
数学 |
①計算力 ‒ 整数・小数・分数の加減乗除、因数分解など ②数量関係 ‒ 割合、時間と速度と距離、食塩水の濃度など ③方程式・不等式 ④図形 ‒ 面積・体積、平行線と角、三平方の定理など |
●整数・小数・分数など小学校高学年から中学3年程度までの基礎的な知識を問うものが多いため、問題集などで基礎固めを図りたい。 ●基本的な計算力が試され、二次方程式や応用問題は比較的少ない。 ●平方根、一元一次方程式・不等式、連立二元一次方程式、三平方の定理、因数分解なども出題される。 |
社会 |
①政治 ‒ 日本国憲法の基本原理、内閣・裁判所、衆議院と参議院のしくみと権限、地方議会のしくみと住民の権利、略語と正式名称など ②経済 ‒ 労働三法、金融機関のしごと、金融政策・インフレーション・為替・租税の種類、社会保障制度など ③地理 ‒ 県庁所在地、首都名、気候、資源、特産品など ④歴史 ‒ 歴史上の重要事項・年代・関係の深い人物など |
●政治・経済については、中学校で学習した「公民」レベルの問題、地理・歴史も中学校レベルのものがほとんどであるため、よく出る分野を中心とした、中学校段階の復習が効果的である。 ●社会の中では、政治に関する出題の比率が大きい。 ●日本国憲法の基本原理は、三原則・三権分立・国民の三大義務・基本的人権などについてよく出題される。 ●経済は、金融や財政、物価、貿易に関する出題が多い。 ●日本経済の大きな問題となる「円高」、「円安」の意味など、社会で話題になっているものについては特に勉強しておくこと。 |
一般常識 |
①時事常識 ‒ 政治・経済、科学、環境など、話題の事柄 ②社会常識 ‒ 生活・文化での常識事項 |
●政治、経済、自然科学、芸術、スポーツ、文学の世界などで話題になった出来事は、ニュースを見て押さえておきたい。 ●通貨単位、国際組織などの略語と正式名称、日本三景などの名数問題、還暦などの通過儀礼に関する出題がよく見られる。 |
S P I能力検査 |
①言語分野 ‒ 反対の意味の語、二語の関係、文章理解など ②非言語分野 ‒ 小数・分数の計算、四則の混合算、連立方程式、割合・比、料金計算、損益算、速さ・時間・距離、年齢算、集合、推論、順列、組合せ、確率など |
●独特な形式の問題が、短い時間の中で多く出題される。一問一問は中学から高校前半レベルであるため、国語、数学の基礎事項を復習し、基礎学力を身につけたうえでたくさんの問題を解いて慣れること。 ●傾向に即した「SPI」能力検査対策用のテストや問題集の活用が効果的である。 |
③就職希望者への年間指導計画例
●「模擬試験・テスト+問題集」が効果的
試験の傾向に即して構成されている模擬試験・テストを柱として、朝自習や課外授業で問題集などの補習教材を組み合わせると効率的に指導ができ、生徒の基礎学力を着実に高めていくことができます。下に弊社の模擬試験・テスト、補習教材を活用した年間計画例を掲載したので参考にしてください。
模擬試験・テストは、制限時間内に問題を解くという緊張感と、試験で要求される解答スピードを体験できるので、回数を重ねることで試験慣れすることができます。また、試験後に返却される各種成績資料により、現在の実力と弱点分野を把握できるため、実力を伸ばすための克服すべき課題が見えてきます。さらに、学科をまたいだ校内推薦の基準として、成績表に示されている判定・序列を参考にするために、模擬試験・テストを活用する学校もあります。
●模擬試験・テスト、補習教材を活用した年間計画例
学年 | 月 | 行事等 | 模擬試験・適性検査 | 補習教材等 | キャリア教育教材 |
2年 |
4月 5月 ~ 7月 8月 10月 ~ 12月 1月 2月 |
進路希望調査① 三者面談 進路ガイダンス インターンシップ 夏期講習 進路説明会 進路希望調査② 個人面談 進路講演会 |
職業適性検査 SPI・常識テストプラス 作文ワーク&添削③ 「私の目指す進路」 SPI入門テスト(第1回) 就職模擬試験(高2用第1回) 作文添削 SPI基礎テスト(第1回) 就職模擬試験(高2用第3回) 作文添削 |
「わかる!とける!基本の数学」 「ステップアップ一般常識」 「はじめて学ぶ SPI 入門問題集」 「就職試験サポートドリル」 「基礎から学ぶ SPI ベーシック問題集」 「一般常識&適性検査ベーシック」 「これでバッチリ!ガイダンス+SPI・一般常識」 |
高校生のキャリアノート⑩ 「あなたの個性と適性」 高校生のキャリアノート⑪ 「企業とその仕事を知る」 高校生のキャリアノート⑫ 「職場 リアル体験」 高校生のキャリアノート⑰ 「仕事選びのステップ」 |
3年 |
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 ~ |
進路希望調査 進路説明会 個人面談 求人票の見方指導 履歴書練習 求人票公開 (7/1) 三者面談 校内選考 夏期講習 模擬面接 応募書類提出(9/5~) 選考・内定開始 (9/16~) |
就職模擬試験(高3用第1回) 作文添削 SPI対策テスト(第1回) 就職に向けた性格検査GET 就職模擬試験(高3用第3回) 作文添削 就職模擬試験(高3用第5回) 作文添削 |
「就職基礎 Drill」 「一般常識&SPI 対策ワーク」 「自己アピール力をつける 面接ワークブック」 「実戦レベルで学ぶ SPI対策 問題集」 「実戦力がキチンと身につく就職精選問題集」 「SPI & 一般常識 10日間集中ドリル」 ★内定後の学習に★ 「ステップアップ国・数・英」 「ステップアップ国・数・英Next」 |
高校生のキャリアノート⑲ 「自己 PR スキルズ」 高校生のキャリアノート㉕ 「『働く』を守る」 高校生のキャリアノート⑳ 「コミュニケーションスキルズ」 高校生のキャリアノート⑮⑯ 「進路先が決まったら」 「進路先へジャストフィット」 |
※模擬試験・テスト、適性検査、補習教材、キャリア教育教材はすべて実務教育出版発行のものです。