公務員試験ジャーナル

vol.6

2024年4月15日発行

公務員試験の攻略法

INDEX

1. 公務員試験の構成
2. 教養試験(基礎能力試験)
3. 適性試験
4. 作文試験
5. 面接試験
6. その他の試験

1. 公務員試験の構成

試験時間や出題数に幅はありますが、国家公務員、地方公務員とも、択一式の教養(基礎能力)試験、適性試験、作文試験、面接試験がオーソドックスな試験種目です。このほか、技術系の職種では関連する専門試験が、海上保安学校など学校系の職種では学科試験が課されます(一部記述式あり)。さらに、警察官や消防士などの公安系職種では、職務遂行に必要な体力を測る検査もあります。市町村レベルでは試験形式が多様化しており、希望自治体が何を採用しているか把握した上で対策を行いましょう。

2.教養試験(基礎能力試験)

教養試験は、出題科目が「知識分野」と「知能分野」の2つの分野で構成されています。出題数は試験により異なりますが、40〜50題程度です。

①知識分野

出題数は教養試験全体のうち約半分を占め、中学校から高校までの学習範囲が中心です。これらは公務員として業務を遂行する上で必要となる一般的な知識をみる試験です。

【社会科学系科目】《政治、経済、社会、時事等》

この分野は基本的な知識を問う問題が中心ですが、出題数も多く、近年は時事的な要素の強い出題がよくみられます。対策としては、日頃からニュースや新聞、情報番組などをチェックしてサブノートなどを作り、知識を整理しておくとよいでしょう。

【人文科学系科目】《日本史、世界史、地理、倫理、文学・芸術、国語、英語等》

各科目とも出題数は1〜3題ですが、出題範囲が広く、すべてをカバーするのは難しい科目です。試験によっては頻出箇所がありますので、参考にしながらポイントをしっかり押さえて学習していきましょう。

【自然科学系科目】《数学、物理、化学、生物、地学》

各科目1〜2題ずつ出題されています。重要事項をしっかり学習し、頻出テーマから取り組んでいきましょう。

②知能分野

教養試験の約半分の出題数で、公務員採用試験独特の試験内容を持つ次の4つの分野に分けられます。これらは文章や統計資料を正しく理解し、分析・推理して物事を判断する能力を測定する内容です。

【文章理解】

現代文・古文(漢文)・英文の読解力を問われる出題内容です。課題文の内容と合致するものを選ぶ出題、筆者の主張を読み取る出題、段落ごとに区切られた文章を意味の通るように並べ替える出題、接続詞などを空欄に入れ意味の通る文章にする出題などがあります。

【判断推理(課題処理)】

文章で与えられた内容から「判断力」「推理力」を働かせて、条件を整理しながら論理的に解決していく問題と、展開図など直感力を働かせ解決する問題があります。数多くの問題に当たり、解法パターンをマスターしていくことが大切といえるでしょう。なお、人事院管轄の試験での科目名は「課題処理」です。また、一部自治体で出題される「空間把握」は判断推理の一種です。

【数的推理(数的処理)】

場合の数や仕事算など、数学的なパズル問題に似た形式の出題内容となっています。 高校までの数学の知識・解法で解ける問題のため、教科書の基本的な公式などを身につけておくことができるように、復習も組み入れていきましょう。なお、人事院管轄の試験では、科目名が「数的処理」となっています。

【資料解釈】

表やグラフといった統計資料を解釈する力が試されます。設問によっては計算も必要になり、比較的簡単ではありますが、解法のコツを身につけておくことが攻略のポイントとです。

教養試験攻略のポイント

・出題数の多い科目に重点を置いて学習に取り組む。

・学校の授業ではフォローしにくい知能分野は早めに学習を開始する。

・過去の出題傾向を分析して頻出事項を絞り込み、効率的な学習をする。

★2023年度【基礎能力試験 出題内訳表】 ※クリックでPDFが開きます

●国家一般職高卒・税務職員

●地方高卒

●東京都Ⅲ類、特別区Ⅲ類

●警察官

●市役所

3.適性試験

公務員試験の適性試験では、職務遂行上必要とされる、物事を正しく素早く判断・計算する事務処理能力が測定されます。それぞれの問題は簡単に解けるものですが、短時間でより多く、しかも一問ずつ着実に正解へ導き出していく力が求められます。 適性試験の出題形式のパターンを分析すると次のタイプに分けられます。

【計  算】比較的簡単な四則演算の計算問題。

【分  類】一連の記号や文字などをある約束に従って振り分ける問題。

【照  合】左右にある記号や文字に誤りがないかを見分ける問題。

【置  換】一定の約束に従って記号や文字などを他のものに置き換える問題。

【図形把握】例示された図形と同じ図形を見分けて選ぶ問題。

【複合問題】前述の5つの出題パターンを2種類以上組み合わせた問題。

適性試験はこれらのタイプの問題がスパイラル方式で配列されています。国家一般職高卒の場合、3つの形式が[検査Ⅰ・10題× 検査Ⅱ・10題× 検査Ⅲ・10題]× 4回繰り返される配列となっており、計算を扱う形式が検査Ⅰに配されるパターンが多くみられます。どの形式の問題も国家一般職高卒は比較的難易度が高く、解法の手順が煩雑になっています。また、適性試験では、採点方式に減点法をとられていることも注意したい点です。つまり、全解答数のうち、正答数から誤答数(最後にマークしたところまでの無答、2 つ以上マークした解答も含む)を引いた数が得点となります。

そのため、試験の際は必ず番号順に問題を飛ばさず解答していかなければなりません。先にも触れましたが、適性試験は一種のスピード試験ですので、それぞれの問題形式に沿った解法パターンを反復練習して解き方の勘を養い、問題を正しく解く能力と量をこなしていく処理能力を高めるトレーニングが欠かせません。

適性試験攻略のポイント

・マークシートへの塗り方も含め、正確さを心がけ、徐々にスピードも意識する。

・問題を番号順にと解いていく習慣づけを徹底し、減点を防ぐ。

・本番で慌てないよう、難易度の違うさまざまな形式にも触れておく。

・苦手な出題形式は、繰り返しの練習で克服する。

・正確に計時をしながら、問題を解く集中力を養う。

・適性問題に毎日取り組む学習計画を立て、慣れと感覚を維持する。

4.作文試験

国家公務員試験の場合、作文試験は一次試験で実施されます。国家一般職事務区分、刑務官、裁判所一般職、参議院事務局一般職高卒、参議院事務局専門職衛視では得点化され、配点比率が公表されています。多くの場合、作文試験は最終合格者の決定の際に反映されます。

一方、地方高卒試験では、二次試験で実施する自治体も多くあります。しかし、地方高卒試験のみを受験する場合でも、一次試験を突破してから作文試験の対策を始めるのでは間に合いません。作文試験対策を行うことは、同時に、国語の基礎力である漢字の読み書き、文章読解力などを高めていくこともできますので、早期から積極的に取り組むことをおすすめします。

作文の試験時間は45~120分、字数は600~1,200字と幅があります。課題は、公務員としての心構えや理想の公務員像を問うもの、国や自治体の将来像を問うもの、社会問題に対する考え方を問うもの、など多岐にわたります。志望の職種・自治体の過去の実施方法・出題例をもとに対策を練っていきましょう。

作文試験攻略のポイント

・新聞やニュースなどで、社会で起こっている出来事について調べ、自分なりの意見をまとめる。

・作文試験の過去の課題に沿ったテーマ設定をし、書く練習をする。

・作文試験の過去の課題に沿った自分の模範解答のパターンを作っておく。

★令和5年度公務員試験作文課題の例

5.面接試験

面接は、筆記試験では判断できない受験者の人間性をみる試験として、主に二次試験で実施されます。質問内容は、志望動機や自己PRなどが中心です。

【個別面接】

受験者は1人、試験官は3人程度。時間は15〜30分ほどで、最もポピュラーな形式です。

【集団面接】

受験者は5〜8人に対し試験官は3人。時間は45〜70分程度というのが一般的です。

【集団討論】

与えられた課題について受験者5〜7名で討論します。高卒程度試験での実施は多くありません。

★面接試験の実際例

6.その他の試験

①性格検査

国家公務員試験では、人事院管轄の国家一般職・専門職の二次試験において、面接試験の参考として行われます。また、地方公務員試験においても一部の自治体で課されています(科目名は「適性検査」と記載されている場合もあり)。公務員試験においてもっともポピュラーなものは、「クレペリン検査」「Y-G式性格検査」などです。いずれにしろ、あくまでも検査ですので、よい判定を出そうと身構えずにリラックスして臨みましょう。

②専門試験

技術系職種に課される試験で、各職種の区分に応じた専門知識や技術に関する知識について測定することを目的としています。出題内容は工業高校、農業高校の専門課程の指導要領に則っており、基本的な問題が中心です。科目によっては職種を超えて共通の出題もあるようです。また、国家一般職高卒の技術区分では、数学、物理、情報が必須科目となっていますので、専門科目と並んで力を入れた試験対策を考えておく必要があります。なお、地方高卒試験においては、記述式の解答方式をとっている自治体もありますので、志望先の出題形式に沿った試験対策を行っていきましょう。

③学科試験

主に学校系(航空保安大学校、海上保安学校・大学校、気象大学校など)の公務員試験で出題がみられます。英語、数学、物理などの科目で、高い難易度が示されています。

④一般常識試験

国家公務員では、参議院事務局一般職高卒・専門職衛視において、一般常識試験が課されています。

内容は共通で、時間は40分。社会科学分野についての基礎知識を中心とした記述式の試験で、時事的知識も問われます。地方公務員では、漢字の読み書きや時事用語の説明を求める記述式の試験を行っている自治体もあります。

⑤体力検査

警察官、消防士など公安系職種においては、体力検査が課されています。内容は試験によって異なりますが、主にシャトルラン、反復横跳び、腕立て伏せ、上体起こしなどを行われています。日頃から体力づくりをしておきましょう。

⑥ SPI3

実施する自治体が近年増加しており、市役所などでよく見られます。 SPI3の能力検査は、教養試験の一般知能分野(文章理解・判断推理・数的推理)に近い内容となっていますが、言語分野の二語の関係など、独特の形式で出題されることもあります。 また、教養試験の一般知能分野と比べて問題量の多い試験です。独自の出題形式もあるため、専用の対策問題集で出題形式に慣れるとともに、模擬テストなどで解答スピードを身につけておくことが大切です。

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