vol.3
2024年11月発行
【職務内容】
国家一般職高卒と同様、地方高卒においても一般的な事務系・技術系職種に従事する職員が大半を占めています。そのほか、公安職である警察官・消防士も地方公務員に含まれます(ただし、警視正以上の警察官は国家公務員)。
※高卒程度国家一般職公務員試験の概要についてはVOL.2を参照。
※警察官試験については「2.警察官試験の概要」を参照。
●事務系職種
自治体によって名称は異なりますが、事務系職種は配属先によって一般事務、学校事務、警察事務などに分けて採用されることが多いです。
〈一般事務〉
本庁やその出先機関などさまざまな職場に配置され、庶務・経理、企画・立案、渉外・折衝などの一般行政事務に携わります。市区町村の場合は、窓口業務に就くことが多いため、住民と直接コミュニケーションをとる機会が多くなります。
〈学校事務〉
公立学校(小・中・高)に勤務し、教職員の給与の計算や学校予算の管理、福利厚生面でのサポート、入学や卒業に関する手続き、教材の手配、保護者や来校者への対応など多岐にわたる業務を行い、教育の現場を支えています。配属先は都道府県立学校または市区町村立学校となります。
〈警察事務〉
警視庁や各道府県の警察本部、警察署に勤務し、施設管理、調査統計、会計事務、福利厚生面でのサポート、地域住民との窓口業務などに携わり、警察の円滑な運営を支えています。
●技術系職種
自治体によって募集職種は異なりますが、農業、農業土木、林業、土木、建築、電気、機械、化学、水産などの区分があります。それぞれ専門性を生かした業務に携わり、行政サービスには欠かすことのできない存在です。
●消防士
東京消防庁や各市町村、消防組合の消防署に勤務し、火災や事故、地震・台風などの災害現場での消火活動や人命救助、救急活動を行うほか、防災指導にも携わり、多様化する災害から住民の命と財産を守る重要な任務に就いています。
【試験構成】
都道府県や政令指定都市の採用試験については、各自治体の人事委員会が管轄して実施していますが、個々バラバラの内容というのではなく、共通する部分が多いです。その他の自治体についても同様の傾向にありますが、独自の採用試験を行っている自治体もあります。
以下は、事務系職種の採用試験の傾向です。
●一次試験
「教養試験」「作文試験」「適性試験」などが課されています。
「教養試験」は、自治体によって差はありますが、択一式で出題数は40~50題、解答時間は120分が一般的です。統一実施日と同一日に実施される採用試験では、ほぼ共通の問題が出題されておりますが、試験日が統一実施日と異なる自治体においては、独自の問題で採用試験を実施しているようです。
「作文試験」は、ほとんどの自治体で課されていますが、一次試験で課すところと二次試験で課すところがあります。一次試験において実施される場合は、その判定結果は最終合格者の決定の際の資料として、一次試験合格者を対象に反映されます。字数は600~800字、制限時間は50~60分程度が多いようです。
「適性試験」は、択一式で100題・10分のスピードテストで、事務系職種を対象に、事務処理能力を測るために市役所の3分の1程度で実施されているようです。
●二次試験
「面接試験」「作文試験(上記参照)」「適性検査」「身体検査」などが課されます。
「面接試験」はすべての自治体で課されており、形式は「個別面接」「集団面接」「集団討論(グループディスカッション)」の3種類です。ほぼすべての試験で「個別面接」が実施されますが、「個別面接」に加えて「集団面接」や「集団討論」を課す自治体もあります。
「適性検査」は、ほとんどの自治体で行われています。「面接試験」の参考とするためにクレペリン検査やY—G検査といった性格検査が実施されています。
「身体検査」は、一般的な内科系検査が行われます。
●その他の試験
ほとんどの市の採用試験は択一式ですが、一部の市では漢字の読み書きや時事・社会常識に関して記述式・短答式の試験を実施しているところもあります。
また、近年はStandard(標準レベル)、Logical(知能重視)、BEST(基礎力重視)といった新しいタイプの教養試験や、SPI、SCOAなどの適性検査を導入するケースが増えてきています。
【職務内容】
●警察官(男性・女性)
犯罪の予防・鎮圧・捜査、被疑者の逮捕、交通違反の取締り等の任務に従事し、公共の安全と秩序の維持、住民の安心な暮らしを守ります。
女性警察官も基本的な職務は男性警察官と同じですが、とくに女性や子供が被害者・関係者となるような犯罪などにおいては、女性ならではの視点、心配り、寄り添い方が求められる場面も数多くあり、幅広く活躍しています。
採用後は、各都道府県の警察学校に入学して10か月間の専門教育を受け、職務に必要とされる基本的な知識や技能を習得します。
卒業後は、警察署に配属され、交番などの第一線で経験を積み、経験年数や実績に応じてキャリアアップしていきます。
勤務形態は、毎日勤務(週休2日制で一般のサラリーマンと同様の勤務形態)と交代制勤務の2つに分かれます。
【試験構成】
●一次試験
主に「教養試験」「作文試験」「適性検査」で構成されています(「作文試験」「適性検査」は二次試験で行われる場合もある)。
教養試験は、択一式で出題数は50題、解答時間は120~150分が一般的です。内容は国家一般職高卒、地方高卒とほぼ同様です。市役所と同一日に実施される場合は共通問題が出題されているようです。また、漢字の読み書き能力をみる記述式試験など独自の試験問題を課す自治体もあります。
「作文試験」は、すべての自治体で課されており、字数は600~800字、制限時間は60分程度が主流です。一次試験において実施される場合は、その判定結果は最終合格者を選ぶ際の資料として、一次試験合格者を対象に反映されます。
「適性検査」は、「面接試験」の参考とするためにクレペリン検査やY—G検査といった性格検査が実施されています。
●二次試験
主に「面接試験」「作文試験(上記参照)」「適性検査(上記参照)」「身体検査」「体力検査」が課されます。
「面接試験」は、「個別面接」が実施されていますが、併せて「集団面接」や「集団討論」を行うところもあります。
警察官試験の特徴として、職務の特性上、身体要件が定められているため、「身体検査」および「体力検査」が課されます。
「身体検査」「は、身体測定や一般的な健康診断、関節および五指の運動が正常であるかなどをみる検査が一般的です。受験資格の中にいくつかの身体基準が設けられていますが、近年、基準を見直す自治体が増えています。令和6年度は全自治体で身長・体重要件が廃止される見込みです。検査内容や基準は自治体によって異なるところもありますので、必ず志望先の受験案内(募集要項)で確認しておく必要があります。
「体力検査」は、職務遂行のため最低限必要となる体力や筋力をみる検査です。種目は腕立て伏せ・垂直跳び・握力・上体起こし・立ち幅跳び・反復横跳び等があり、内容や基準は自治体によって異なります。
●共同試験
警察官の採用試験は都道府県(東京都は警視庁)ごとに実施されますが、複数の自治体がまとまって行う「共同試験」という制度があります。採用数が多い大都市圏の警察が地方の自治体と協定を結んで実施することが多く、警視庁や千葉県警、大阪府警などが導入しています。受験者は「共同試験」に参加している他の都道府県を、第1もしくは第2志望として選んで受験することができます。受験する試験は1つですが、複数の自治体を同時に受けるものとして扱われ、合格のチャンスが増えるので利用したい制度です。2023年度の採用試験では26の自治体で実施されました。
「共同試験」は男性のみが対象でしたが、女性の採用割合の拡大に伴い人材を確保するために、大阪府警が広島県警の協力を得て、全国初となる女性を対象とした「共同試験」を2022年度から開始しました。
●二次試験